弁才天・弁財天
とある場所に寄稿する文章を書いていたとき、
「弁才天」と書いたものを、編集の方に「弁財天」に修正されました。
どちらも同じ「弁天さん」と呼称しますが
どうやら「弁財天」のほうが一般的なので、ということのようです。
気になったので、一体どちらが正式なお名前なのか、調べていました。
『密教辞典』をみると、「辯才天」の項目で掲載されています。
ほかの名前に大辯才天(女)、大聖辯才天神、辯天、妙音天・美音天 とあり、
俗称として辨財天・辯天があるとのこと。
「辯」は「弁」の旧字なので、「弁才天」の表記が正式なようです。
もともとはインドで、川の流れの妙なる音を神格化した
サラスヴァティーという女神。
弁舌や学芸、知識の女神で音楽・戦勝の神さまでしたが、
やがて福徳や延寿・財宝の神としての性格が持ち上がり、
七福神に加えられるようになります。
「弁財天」は江戸時代以降に表記されるようになったようです。
日本での姿には八臂(8本の腕)と二臂(2本の腕)があります。
『金光明最勝王経』の「大弁才天女品第十五」には、
八臂は剣や斧、弓矢などの武器を持つ姿が説かれます。
軍神としての性格だけでなく、
これらの武器によって煩悩を打ち砕くという意味があるのでしょう。
二臂の姿は琵琶を持っています。
水の流れの音が琵琶の音に似ているといわれます。
ちなみに石山寺では、法輪院に弁才天さんをお祀りしています(非公開)。
日本三大弁天は、安芸の宮島、近江の竹生島、江ノ島の弁才天さんです。
どこも水の流れが豊かな場所ですね。
はからずも昨年、一昨年ですべてお参りできてから、弁天さんがとても好きになりました。
以来自坊で拝ませていただいています。
石山寺の第三代座主の淳祐内供も竹生島に参詣の折、弁才天に会われたという伝承があります。