かわいい訪問者と『楞伽経』
お盆2日目を終えようとしています。
千日会にお申込みいただいた方は、16日までご供養させていただき、16日夕方の送り火法要でお焚き上げをさせていただきます。
今日は閼伽棚に、かわいらしいお客さんが来てくれました。
排水口のなかから、カエルが顔を出しています…
つやつやと綺麗なカエルです。
なかなか雨が降らないので、水が手に入るところに来たのでしょうね。
排水口はすぐ下の溝につながっているので、もし落ちてもすぐに出られる構造になっています。
台風などでお困りの地域もあることと思いますが、ここ数日、大津は全く雨が降っていません。
雨が降るまで、ここでしばらくご近所づきあいをするかもしれません。
さて、今日は『楞伽経(りょうがきょう)』という経典の解説本が届いたので、合間の時間に読んでいました。
『楞伽経』は禅宗ではよく重んじられる経典で、釈尊がランカ島でラーヴァナという夜叉の王に教えを説いたという設定で語られます。
内容は唯識思想から如来蔵思想まで幅広く説かれていますので、中心となるのが何なのかということははっきりとは言えません。
唯識思想は、世界はすべては心の働きで成り立っているという教えで、心の働きを細かく分けて考察していくというものです。
如来蔵という観念は、人間の本性が清浄であり、本来誰でも仏になる素質(仏性)を持っているという思想です。
その後に説かれるのは、精進潔斎について。
ちょうど今、お盆の期間は毎年精進潔斎をして肉や魚を食べずに過ごしています。
なぜそれをするのか?という典拠となるのが『楞伽経』です。
殺生、肉食を禁ずとは…
「一才の諸肉は無量の縁あり」と書かれています。
肉になった生き物は、私たちが生まれ変わってきた輪廻の中で、昔お父さんやお母さん、あるいは子どもだったかもしれない存在だというのです。
また、一切の生きとし生けるものを一子のごとくに想うのに、自分の子どもを食べることを許すことはできない、と経典の中で釈尊は仰っています。
完全に肉食を断つというのは、意外とやってみると難しいことです。
肉や魚を食べないだけならまだ良いのですが、市販されているものや、普段食べているものの中には大概のものにかつおだしやチキンエキス、卵などが含まれています。
これをすべて避けるのが精進潔斎です。
常に精進することが望ましいのですが、情けないことになかなか難しいのがこれです。
なので、せめて期間を決めて精進するようにしています。
その期間は生きとし生けるものへの慈悲を、自覚していたいものです。
そして期間を終えても、生き物たちへの感謝を忘れずにいたいと願っています。
閼伽棚のカエルも、もしかすると前世にどこかで出会っているのかもしれません。