ご縁を結べる日 今日は弥勒さま
毎月5日は、弥勒菩薩さまのご縁日です。
朝から弥勒菩薩さまの御宝前でお勤めをしました。
弥勒菩薩さまのお像は本堂の観音さまの向かって右側にあり、
昨年4月に開眼したばかりの、石山寺で一番新しいお像です。
それ以来、毎月5日には拝ませていただいています。
弥勒菩薩は、お釈迦様が亡くなられてから
56億7千万年後にさとりを得ることを予言されている仏さまです。
梵語ではMaitreya(マイトレーヤ)「慈から生じたもの」といい、慈氏菩薩とも呼ばれます。
今は兜率天というところで修行にされており、56億7千万年後には現世に下りてきて、
三度にわたって説法をするといわれています。
これを「下生(げしょう)」といいます。
『石山寺縁起絵巻』によると、吉野の金峯山には金が眠っているそうです。
良弁僧正が金峯山で蔵王権現の夢告を受けたとき
「この山の金は弥勒菩薩が下生した時に大地に敷く金である」と告げられた、と
絵巻は伝えています。
また、遠い未来までにも多くのお坊さま方が弥勒菩薩のところに生まれたいと願い
兜率天へ往生したと伝わります。
これを「上生(じょうしょう)」といいます。
弘法大師空海も、高野山奥の院で入定されたとき、
「閉目ののちは兜率天で弥勒菩薩に仕え、成道の際には必ず一緒に下生する」と約束されたと伝わっています。
観音さまやお不動さまにもご縁日があるように、
仏さまにはそれぞれご縁を結べる日があります。
ご縁日にしか縁を結ぶことができないのか、とか
仏さまはお寺にしかいないのか、といえばそうではありません。
ほとけは常にいませども 現ならぬぞ あはれなる
人の音せぬ暁に ほのかに夢に 見え給ふ (『梁塵秘抄』)
という歌にみられるように、仏さまは常にいるが、目に見えない存在です。
目に見えないはたらきを感じようと思うと、
そこにはイメージが必要になります。
そのために仏像があります。
そして、仏さまをより近く感じるためには、
仏さまがいる方向、時間などの制限があるほうが、
私たちは心を向けやすいということだと思います。