お知らせ

2023年10月26日お知らせ

第四回石山寺俳句大賞 入選発表

今年も石山寺俳句大賞に多くの方にご参加いただき誠にありがとうございました。
全659句の投句から入選作を決定しました。入選された方、おめでとうございます。

応募総数 659句


◯紫式部賞(最優秀賞)2本

・門前共通商品券「光ルくんチケット」3,000円分
・石山寺紅葉ライトアップ「あたら夜もみじ」招待券ペア1組

水の秋 式部の硯に 海二つ
石山寺には紫式部が源氏物語を起筆する際に使ったとされる硯が残されています。墨をするための2つの円形の陸と、鯉と牛が彫られた2つの小さな墨池のある珍しい形の硯です。
この句では、秋の澄んだ水ですられた墨の池を海に例えています。海の水のように枯れることのない墨が長い物語の始まりを連想させてくれます。

月光で 出せぬ恋文 幾度よむ
太陽は情熱を、月は冷静を与えてくれるのでしょうか。陽の光の下で思い人へ伝えようと文字にしたものの、月明かりであらためて読み直してみるとなかなか送る勇気がでない。そんな秘めた恋心が美しく表現されていると思います。

 


◯松尾芭蕉賞(優秀賞)3本

・門前共通商品券「光ルくんチケット」2,400円分
・石山寺紅葉ライトアップ「あたら夜もみじ」招待券ペア1組

臨月の おなかをなでて 小望月
小望月とは望月(満月)の前夜の月。明日の満月を心待ちしている様子と、もうじき産まれくる我が子を待ちわびる気持ちを重ねて表現されています。小望(こもち)をかけているのもまた秀一だと思いました。

姫君と よばれてみたき 良夜かな
中秋の明るく美しい月は誰もが美しく照らし出されます。普段は言えない言葉を口にできるのも、また月の光の神秘的な一面かもしれません。長く一緒に過ごしてきたふたりにも少し変化をもたらすような、茶目っ気を感じさせてくれました。

縁側へ 猫の案内 月見席
月と猫はともに謎めいたもので、その組み合わせは画題として多く描かれてきました。月光が照らされる場所でちょこんと座る猫の様子につい誘われて一緒にお月見。そんな光景がとてもかわいらしく思える句です。

 


◯石山秋月賞(佳作)5本

・門前共通商品券「光ルくんチケット」1,200円分
・石山寺紅葉ライトアップ「あたら夜もみじ」招待券ペア1組

ただ月が ありて生まれし 恋絵巻
平安時代(寛弘元年)中宮の新しい物語を読みたいという要望を受け、石山寺に参籠した紫式部。石山寺から湖面に映る月をみて『源氏物語』の1場面を思いついたところから世界に誇る長編恋愛小説が誕生しました。その物語の発端を上手に表現された句だと思います。

路地口に 風を泳ぐは 秋刀魚かな
今や高級魚となった秋刀魚。ついその香りに振り返る路地の入口。どこかの民家から薫るのは香ばしい秋刀魚の焼けた匂い。ふとした光景をユーモラスに表現されていて、食欲が湧いてくる句だと思います。

紫に 山の端染めて 月を呼ぶ
太陽が沈み、その名残の陽が山の向こうに紫の光をかすかに残しています。稜線に光が差してくればもうじき月が姿を見せてくれる。そんな月の出を楽しむ様子が、「紫」の色によって美しく描かれた句だと思います。

車窓越し 月に魅せられ 乗り過ごす
仕事帰りでしょうか。ふと車窓の向こうに見える美しい月。何も言わずに空に輝く月を眺めているうちに気付くと乗り過ごしていた。そんな「やっちゃったのよ」と笑いながら聞かせてもらってついこちらも笑ってしまう、そんな愛らしい一句だと思います。

秋の空 月みて想ふ 母の浄土(くに)
『源氏物語』には、自ら須磨に流れた光源氏が中秋の月を見て都の人々を懐かしむ場面が描かれています。また紫式部の有名な和歌「巡りあいて見しやそれともわかぬ間に…」も、懐かしい人と月を重ねて詠んだ歌です。月は懐かしい人の顔を思い浮かべる大切な時間をくれるのかもしれません。

 


◯雅賞(特別審査員賞)2本

・門前共通商品券「光ルくんチケット」3,000円分
・石山寺紅葉ライトアップ「あたら夜もみじ」招待券ペア1組

下弦月 星に結びし ハンモック
満月から欠け始めて7日頃、深夜に姿を現す弦月。特に中秋のあとの下弦の月は空気が澄んだ秋の夜に美しく見えます。満月だけじゃない月の美しさを、星とハンモックに例えたあたりがとてもロマンチックだと思いました。

月の雨 君を拐って ゆきそうで
雲の向こうには美しい中秋の月が輝いているはずなのに、それすら疑ってしまう雨の夜。そのせいで、いつもそばにいてくれるはずの君もいなくなってしまうのかと、不安な気持ちになってしまう…。見えない月から恋のせつない心情を見事に表現した「雅賞」にふさわしい一句だと思います。

 


【審査員より】
今年の傾向として、例年以上に月にちなんだものが多く投句されました。その中でも月にまつわる情緒豊かな(珍しい)季語を使われていたり、月を見ることでの心模様を見事に表現されていたりと、全ての句をじっくりと読ませていただきました。
ご応募いただいたみなさまに心よりお礼申し上げます。
惜しくも今回入選されなかった方も、来年開催いたします第五回にぜひ投句いただければと思います。こころより次回の応募をお待ちしています。

あわせて特別審査員を務めていただいている野村雅夫さんのラジオ番組でも俳句を紹介するコーナーがあります。日々俳句に触れる機会として、ここでもご紹介させていただきます。
FM COCOLO「CIAO765」(毎月~木 6:00~11:00)
俳句のコーナー『季の言葉』(毎月~木 7時頃)
https://cocolo.jp/site/blog/1060/

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