お知らせ

2024年10月28日お知らせ

第五回石山寺俳句大賞 入選発表

今年も石山寺俳句大賞に多くの方にご参加いただき誠にありがとうございました。
全460句の投句から入選作を決定しました。入選された方、おめでとうございます。

応募総数 460句


◯紫式部賞(最優秀賞)2本

・門前共通商品券「光ルくんチケット」3,000円分
・石山寺紅葉ライトアップ「あたら夜もみじ」招待券ペア1組

十五夜に 揺れし薄穂 月じゃら
揺れるススキの向こうに見える中秋の月。それがまるで猫じゃらしのように、ススキが月に遊ぼうと言っているように見える。月とススキは定番の景色ですが、こんなふうに見方を変えるとお月見もまたより楽しい時間になるのですね。

幻と 分かって掬う 水の月
平安時代に始まったお月見では、直接月を見上げるのではなく水面に映った月を愛でるということも流行したようです。水盤や盃に揺らぐ月もまた美しいものです。すぐ近くに見えるけれども決して触れることもできない、そんな切なさが感じられる美しい句ですね。

 


◯松尾芭蕉賞(優秀賞)3本

・門前共通商品券「光ルくんチケット」2,400円分
・石山寺紅葉ライトアップ「あたら夜もみじ」招待券ペア1組

秋雲や 不意に生まれる 旅心
暑くて長かった夏がようやく終わり、過ごしやすい気候になりました。空はどこまでも高く、ゆっくりと流れる秋の雲。空に自由に浮かぶ雲のように、ふと私もどこかに行ってしまいたい気持ちになったのでしょう。そんな旅心に共感できる芭蕉賞にふさわしい句です。

勤行の 静もる声や 秋の雨
秋の長雨は春雨と違ってどこか寂しげな印象。降り続く雨のせいで参拝に訪れる人もまばらで、毎朝行われるお勤めも、読経の声が雨に吸われて心なしか小さく聞こえる。それがまた厳かに感じられる。そんな雨の日のお寺の日常がうまく表現されていると感じました。

書き初むる 式部の筆へ 月明り
石山寺に7日間参籠した紫式部が中秋の月を眺めて『源氏物語』を起筆したという伝承が残されています。また紫式部が詠んだ和歌「めぐりあひて…」も雲隠れする夜半の月を幼馴染になぞらえています。紫式部は月から多くのことを感じ取れたのでしょう。

 


◯石山秋月賞(佳作)5本

・門前共通商品券「光ルくんチケット」1,200円分
・石山寺紅葉ライトアップ「あたら夜もみじ」招待券ペア1組

生きしもの 音けす如く さす光
月の光はどこか畏怖の気持ちを抱かせる不思議さがあります。まして満月ともなると、じっと息をひそめてしまうほど強い光を浴びせてきます。そんな月の強さと地上の静まりが表現された洗練された月夜の一句です。

石段が きづなのあかし 月詣り
石山寺では本堂へ上がるために約70段の石段を上ります。観音さまが補陀落山というお山にいらっしゃることから、観音寺は山に建てられることが多いのです。月夜に本堂の観音さまに逢いに石段を一段ずつ上っていく。中秋の石山詣をうまく表現した句です。

月待ちて グラスの底に 赤い澱
「月待ち」はいつの時代も歌で表現されます。中秋のお月見を楽しもうとグラス片手にベランダに出てみたものの、なかなか月が姿を見せてくれない。グラスの赤ワインも待ちくたびれて、すっかり澱が底に沈んでしまった。「月待ち」を現代らしく詠んだ句でした。

源氏山 からくりカタコト 秋祭
毎年10月(今年は10月12日・13日)に行われる湖国三大祭のひとつ大津祭。江戸時代に始まった天孫神社の祭礼で、前夜の宵宮や本祭の曳山巡行などが行われます。見どころは曳山のからくり。「源氏山」は300年以上の歴史がある曳山で、石山寺と紫式部にちなんだからくりが楽しめます。

「どう、見れた?」 月を理由に 電話して
美しい満月を空に見つけると大切な人に教えたくなりますね。それは太陽でも星でもなく、決まってお月さまなのが不思議です。この句では誰に電話をしたのでしょうか。みなさんは誰に電話したと思いますか。そこを想像するのもこの句の楽しみ方かもしれません。

 


◯雅賞(特別審査員賞)2本

・門前共通商品券「光ルくんチケット」3,000円分
・石山寺紅葉ライトアップ「あたら夜もみじ」招待券ペア1組

筆跡に 辿る記憶や 恋時雨
家の整理をしていると、不意に手にする古い手紙。愛し合った、あるいは、愛し合えたかもしれない人と交わしたやりとりが、その肉筆からありありと蘇る。縦書きの手紙を想像しました。言葉の流れと降る雨、そしてもしかすると涙もあるかもしれないですね。
(評:野村雅夫)

君去りて 肩に月光 空ばなし
人生の伴侶か、子どもか、はたまた友人か。去っていってしまった空白を照らす月。以前なら、お月見でも「月より団子」とばかりに賑やかに話していた人もおらず、今はただ月にひとり語りかけるのみ。他愛のない話、無駄話という「空話」と、月の浮かぶ空がかかっていて感じ入りました。
(評:野村雅夫)

 


【審査員より】
今年はホームページとX(旧ツイッター)での投句のみでの受付となりましたが、多くの方に俳句を詠むことを楽しんでいただくことができました。
今年の傾向としては心模様を表現した句が多かったように思います。また、石山寺に参詣されたからこその句もあり、とてもうれしく読ませていただきました。
ご応募いただいたみなさまに心よりお礼申し上げます。
惜しくも今回入選されなかった方も、来年開催いたします第六回にぜひ投句いただければと思います。こころより次回の応募をお待ちしています。

あわせて特別審査員を務めていただいている野村雅夫さんのラジオ番組でも俳句を紹介するコーナーがあります。日々俳句に触れる機会として、ここでもご紹介させていただきます。
FM COCOLO「CIAO765」(毎月~木 6:00~11:00)
俳句のコーナー『季の言葉』(毎月~木 7時頃)
https://cocolo.jp/site/blog/1060/

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