座主のお話

2024年12月5日座主のお話

聞くことの功徳

久しぶりにこちらを更新します。

11月に予定を入れすぎてしまい、そのまま年末の行事になだれ込んでいく形になってしまいました。
勉強ができていない。

「忙しい」という漢字は「心を忘れる」と書きますが
心を忘れてはお坊さんは務まりません。
忙しくても、常に自分の状態を見ておくことが大事だなと感じます。
あるいは、そうなるまでに予定を詰めない、ということでしょう。

一年間いろいろなところでお話をしましたが、
もともと私は人前で話すことがとても苦手でした。
それどころか、日常生活で人と話すことにも抵抗がありました。
「私の話なんて聞いても面白くないだろうな」と思っていたからです。
それが今では、人前で講演や法話をするようになりました。
以前だったらこうなることも想像できなかった変化です。

人生はどうなるかわからないものですね。

人前で話せるようになったきっかけは、一人の人が私の話をうなずきながら聞いてくれたことでした。
たったそれだけのことなのですが、それが「私は話してもいいんだな」と思うことができた初めての瞬間でした。
人の話を聴こうとする姿勢には、そういう力があるようです。

「観世音菩薩」とは、世の中で観音さまに助けを求める音声を観察し、その人の苦しみを除いて楽を与える仏さまです。
音声を観察するというのは、ただ聞くというよりも、もっと注意深く聞くことなのだと思います。
観音さまのように話を聞いてくれた人がいたことで、私自身も救われたことがあったのでした。

観音信仰というのは、与えられる救いを求めるだけでなく、自らも観音になることを目指すことです。
だから、誰かの話を聞いたり、その人の言わんとすることを注意深く観察するのは、観音さまになるための行なのだと思います。

私も来年は、じっくりと腰を据えて、落ち着いて人の話を聴ける年にできたら……と考えています。

 

*今月の予定*

12月6日~8日 仏名会

12月10日 13:00~ 大津市仏教会主催 成道会仏教徒大会 https://otsubukkyokai.wixsite.com/website/activity

ピアザ淡海ホールにて記念講演
「『石山寺縁起絵巻』で読む観音さまの話」(入場無料だそうです)

12月14日 13:30~ 醍醐寺さまにて講演 https://spn-apr.com/h/daigokyougaku/
「紫式部と観音信仰」

ほかにもあるのですが詳細がまだ来てないのでこのあたりで・・・

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